ある工務店にFP提携の提案に行ったときの社長さんのお話です。
「FPってあんまり良いイメージがないんです、私たち工務店の事情も分からずに勝手な提案をお客様にされるんです」と。
どういうことですか?と聞いてみると、お客様が「着工金や中間金を払わなくて良いように工務店に交渉してください」とFPからアドバイスされた、とのことでした。
一般的に住宅を建築する際のお金の流れはこのようになります。
土地の売買契約:土地の手付金を支払う
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土地の決済・引き渡し:土地代の残金全額を清算
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設計:設計料やデザイン料の一部を支払う
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住宅建設開始(基礎着工):工事の着工には着工金が発生
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上棟時:中間金を支払う。建築業者により回数が異なるが、通常1、2回
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住宅完成・引き渡し・住宅ローン融資:デザイン料や設計費、建設費の残金を清算
設計を請け負う設計士や建設業者により支払時期や金額に若干の違いはありますが、住宅ローンの融資を受ける前に土地代金や着工金・中間金など、住宅ローン実行前に建築費の一部を支払うのは共通です。
そのため、自己資金が少ない場合やほぼ全額借り入れで住宅ローンを組まれる人は「つなぎ融資」というものを受けます。
自己資金が少ない場合や、ほぼ全額住宅ローンを組まれる人は「つなぎ融資」を受けるのが一般的です。
「つなぎ融資」とは、住宅完成前(住宅ローン実行前)に
住宅の完成を見込んで先行融資を受けられるローンのことです。
当然利息がかかります。
ただし、つなぎ融資は一般的な住宅ローンとは違って「無担保ローン」のため金利が高いです。
この「つなぎ融資金利分」を節約するために、着工金や中間金を建築途中に支払わず、住宅ローン実行時(住宅完成後)に工事代金全額を工務店に支払うことができれば「つなぎ融資」を受けなくても良いので、それに伴う「つなぎ融資金利分」が節約できます。
大手ハウスメーカーなどではつなぎ融資を組まなくても良い場合もありますが、大半はつなぎ融資が必要となります。
FPと聞くとコストカッター的に無駄を省くイメージがあります。
しかし世の中には必要なコストもあります。
工務店さんに支払う着工金や中間金は家を建てるために必要な資金の流れです。
それに伴う「つなぎ融資金利」は登記費用や印紙代や税金と同じで必ず必要となるコストであると私は思います。
私は工務店さんとお客様との互いの信頼関係があってこその良い家づくりだと思っています。
実際ハウスメーカー時代にお客様と些細なことで行き違いがあり、お客様との関係が悪くなったことがあり、とても嫌な思いをした経験があります。
FPとしてお客様に良かれと思った提案でも、工務店さんにとっては迷惑になることもあるんだなぁと・・・。
本当に信頼できるFPとは何なのかを考えさせられる良い機会でした。