病気やけがの治療で病院に行ったときに窓口で必ず提示する「健康保険証」ですが、みなさん健康保険(公的医療保険)についてどの程度理解されていますか?
「公的医療保険」は、加入者やその家族が、病院で治療をしたときに、医療費の一部負担をしてくれるという制度です。
厚生労働省(医療費の自己負担)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-37.html
日本では、国民すべてがこの「公的医療保険」に加入することになっており、これを「国民皆保険制度」と呼んでいます。
「公的医療保険」は、サラリーマンが加入する「健康保険」と、自営業者が加入する「国民健康保険」で保障内容が異なります。
また、サラリーマンが加入する「健康保険」の中でも、中小企業の会社員が加入する「協会けんぽ」と、大手企業または同業の職種企業によるグループなどで作られている「健康保険」とでは、保障内容が異なります。
つまり「国民健康保険」「協会けんぽ」「健康保険」ではそれぞれ給付内容が違うということです。(船員保険や公務員の方が加入している共済保険は、健康保険に近い保障内容になっています)
民間の生命保険や医療保険に加入するときには、この違いを理解して保険商品の選択や加入の有無を判断する必要があります。
その「健康保険」でポイントになるのが「付加給付制度」というものです。
実はこの付加給付制度についてあまりご存知でない方が多いのです。
ではこの「付加給付」とは??
保険給付には、健康保険法で必ず支給しなければならないと定められている「法定給付」というものがあります。
これについてはサラリーマンでも自営業者でも給付内容は同じになっています。
「法定給付」に加えて健康保険が独自に上乗せして給付するものが「付加給付」です。
加入している健康保険組合によって上乗せの給付が違ってきます。
代表的なものが高額療養費の上乗せです。
ある大手化学メーカーの健康保険組合では、医療費の自己負担限度額が2.5万円となっています。
一般所得者(所得や年齢によっては違います)の高額療養費であれば、本来の高額療養費は80,100円+αですが、「付加給付」があれば、たったの2.5万円を負担するだけでいいのです。
厚生労働省(高額療養費制度を利用される皆様へ)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000167493.pdf
もし福利厚生が充実している大企業の社員(一般的に700人以上の社員のいる企業)や公務員である場合は、「付加給付」の有無や内容について一度調べてみてください。
そして「付加給付」が充実していれば、現在加入している生命保険や医療保険の見直しができる可能性が高いです。
ライフプランの相談に来られる方の多くが保険の見直しも希望されていますので、見直しの前に勤務先の福利厚生制度を調べてもらうようにしています。
そうすると、多くの方は保険の見直しをした結果、保険料が下がったり、場合によって民間の保険に加入しなくても良いという方もいらっしゃるのです。
そのほかにも傷病手当金や出産一時金、その他差額ベット代等も上乗せで給付してくれる組合もあります。
もし適切な保障に見直すことができれば、節約できたお金で貯蓄を増やすことができます。
また、家づくりを検討されている方は借入金額を増やすことができて、より理想に近い家づくりができるかもしれません。
さっそく、自分の勤務先の付加給付制度の有無を確認してみてはいかがでしょうか。
※今後、給付内容が変わったり制度変更があった場合は、その都度適切に見直しの検討をする必要がありますのでご注意ください。
※平成30年4月現在の制度で記載してあります。