暦年課税制度の注意点

ほう ほう
ほたる こい
あっちの水は にがいぞ
こっちの水は あまいぞ
ほう ほう
ほたる こい

ホタルの季節ですね。
僕は 甘い汁を吸うのが大好きです。

さて、昨日の続きです。
暦年課税制度の注意点です。

贈与税の暦年課税制度では110万円までが非課税です。
しかし、暦年課税制度には注意点があります。

今日は暦年課税制度を使った生前贈与の注意点についてのお話です。

まず1つ目。
連年(定期)贈与とみなされないことです。

連年(定期)贈与とは、贈与を毎年繰り返して行うことを言います。
贈与が110万円までだからと毎年110万円を贈与していると、「もともと1度に渡せるはずのお金を節税目的に分割しているだけだ」と疑われます。

たとえば、100万円を10年間にわたって毎年贈与したとすると、税法上ではこれを「1年ごとに非課税枠内で100万円を贈与した」とは考えずに「最初から1000万円を贈与する意図があった」とみなされ、「総額1000万円を10年間にわたって分割して受け取る権利を贈与した」となります。

以下参照

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm(国税庁HP)

では連年(定期)贈与とみなされないためにはどのようにしたらよいのか?
 
それは客観的な証拠となるように贈与契約書を作成することです。
それも贈与のつど契約書を作成します。

贈与契約書には、贈与者(あげる側)と受贈者(もらう側)の両者がそれぞれ自署で署名し押印します。
印鑑は出来れば実印が望ましいです。

また、贈与のつど金額や時期を変えます。
理由は単発の贈与を繰り返したということをアピールするため。
そして念には念を重ね、贈与契約書の確実性を高めるなら、公証人役場で「確定日付」の押印をしてもらうと良いかもしれません。

この「確定日付」はその日にその文章が存在したことを証明するものなので、「確定日付」を押印してもらうことで贈与契約書を後から作成したものではないということを証明することが可能です。

2点目は、相続開始前3年間の贈与については相続税で処理されるということです。

これを「生前贈与加算」と言います。
相続開始(死亡)前、3年以内に行われた贈与については、相続財産に含めて計算をしなければいけないというルールなんですね。

たとえ、贈与税がかかっていない110万円以内の贈与であっても、3年以内に行われたものについても相続財産に含めて計算されてしまいます。

ただ、このルールには意外な抜け道があります。

対象者は相続によって財産を取得する者に限られるという点です。
つまり、相続人ではない孫や、子供の配偶者などに贈与を行えば、この3年内加算のルールにはひっかからないことになります。
相続が3年以内に起きる可能性が高い場合には、贈与の対象者(受贈者)を相続人以外にすることも検討しましょう。

3つ目の注意点は「贈与したことにする」ということです。

親心としては、生前贈与(相続対策)はしたいが、今はまだ子どもに現金を自由に使わせたくない。 

そこで子ども名義の通帳に振り込みは行うが、その通帳や印鑑は自分で管理して、子どもが自由にお金を使わないようにする、よくある「名義預金」というものです。

この場合「贈与されたことにならない」ということです。
贈与とは契約なので、「あげた」「もらった」という関係が贈与者及び受贈者の間で成立しなければいけないので、子どもの名義で長年にわたって蓄積された口座も子どものものではなく、あげた側の親のものという扱いになっちゃいます。

つまりは受贈者の合意があって、かつ自由にそのお金が使える状態でないといけません。

ですので、贈与を受ける場合は受贈者の給与振込口座や生活用口座に振り込んでもらうようにしましょう。

さて、長くなりましたが生前贈与にはいくつかの注意点があることが分かったと思います。 
親からの「甘い汁」があるのであればしっかりと飲み干してくださいね。

くれぐれも飲み方は間違わないように! 

今日はここまで。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!